音楽とコミュニケーション【音っておもしろい8】

もう10何年も、【通奏低音】について勉強をつづけています。

通奏低音というと、和声学以前の和音のこと、
バロック時代に多く使われた伴奏の形、
と思われるでしょうが、
「通奏される低音メロディー」の上に生まれた響き
数字をつけたもの。
あくまでもメロディーが主体なんです。

右手の和音の部分は、あくまで即興的に
音楽の雰囲気に合わせてつけていきます。

ポリフォニーの世界で偶発的に生まれた音の調和に対して、
当時の人が、きっちりした「数字」をあてることで、
どのようなを感じていたかどうか。。。わかりませんが、

これって、私たちが普通にコミュニケーションするのとも
ちょっと相通じるところがあるのかも、
と思うことがあります。

それぞれは、自分の言いたいことを言ってるんだけど、
お互いに調和し合って、美しい響きを作り上げている。

これは、一人の演奏(ソロ)では、
作り上げることのできない世界ですね。

この通奏低音の課題演習、という
一見味も素っ気もなさそうな練習をつみかさねることで、
わかることは。。。

確実に自分の「耳」は変化してきたということ。

その瞬間瞬間に、どんな響きが生まれ、
それがどこに動いていくのか。
それをキャッチできるように、繊細な感覚が
育ってきた気がします。

考えてみると、音楽とは普通に考えると
全く無縁の存在に思える数字の存在。

でも。。。実は音楽と数字はきりはなせない
関係にある、というのはこれまでにも書いた通りです。

数字は自分たちが何気なく聴いている音の総和を、
とても具体的な縦と横の
タペストリーのように感じさせてくれる手がかり、
とでもいえるのかな。

課題本を書いたモリスは前書きで、こう言っています。

「数字つき低音が、五線から鍵盤にうつされるや否や、
記号は音になり、耳と目と手の相互関係は確立される。

演奏してる間、耳をすましている学生は、
彼の内面的に聴く力
正確さが絶えず増大する事を知るのである」

私のピアノの師、原田英代さんの
尊敬するメルジャーノフ先生も、

和声は音の柱となり大きな音楽のフレーズを教えてくれる、
でも決して、縦割りに演奏してはならない、
とおっしゃっていました。


通奏低音をやることによって、
楽譜の中の、とても微細な強弱、ニュアンス
わかってくると、
これまで弾いていた曲が突然
別のものに聞こえてきたりもします。

本当にそれは、マジックのような瞬間です。

いったんそのが作られれば、
ベートーヴェン、ショパンの作品を弾く時も、
まったく違ったように音が感じられてくるのではないかな、
と思います。

自分が作っている音の世界が変わる!

そんな瞬間をあなたもあじわってみませんか?



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